idiom1を失い失意の日々を送る私に、同僚Aがニヤリと囁いた。
「10年前に手に入れた伝説。錆びなどの汚れはおろか、年月の痕跡さえも知らぬ存在。その輝きはまるで太陽そのもの。至福の走りを味わい、誇りを持って所有してください。あなたがこの奇跡の一部になることを、運命が待ち望んでいます。」
伝説を安価に譲ってくれるという甘言に乗せられ、1時間半かけて彼の自宅へ。
見事に錆びなし。フレームに打痕も見当たらず。チェーンもチェーンステーもオイル汚れなし。
30分ほど試走させてもらったが、シフトチェンジも気持ちよく決まる。
経年劣化してるだろう、と思ったタイヤも触ってみたら弾力も溝もある。
「ずっと部屋に飾っとったんか?」
30分ほど試走させてもらった。値段交渉して購入しようと思ったら、
「まだ支払いはいい。しばらく乗って自分にあっているか確かめるといい」って。ありがたいお言葉。
正直試走の時は「700×32でこんなに固いんか? idiomの451-23と変わらんな~」とちょい心配だった。
それから2週間後、正式に私のバイクになった。